
「パラグラフリーディング」とは、paragraph=段落、reading=読むが組み合わさってできた言葉で、英語長文を1文ごとではなく段落ごとに理解することで読みやすくする読解術の1つです。
「パラグラフリーディング」により長文の理解が以前よりも容易になり、結果的に時間短縮に繋がります。英語の長文読解でさらに成績を上げたい学生や英語の論文を読む機会のある学生におすすめです。
本記事を読んで挑戦するだけで、英語長文が格段に読みやすくなりますので、ぜひ実践してみてください。
パラグラフリーディングとは
長文をパラグラフ(段落)ごとのかたまりで捉え、文章を理解するやり方です。
多くの方がやっているであろう長文を1文ごとに理解するやり方では、訳すのに精一杯で、肝心な内容の理解が疎かになってしまいがちです。皆さんの中にも「英語長文を読み終わったけど、結局何が言いたいのか分からなかった」という経験がある人は少なからずいるのではないでしょうか。
こういった悩みを解決するためにも、長文を1文ずつではなく、パラグラフごとに理解することで要点を掴みやすくなり文章の全体像を理解できます。
パラグラフリーディングで得られる2つのメリット
パラグラフリーディングをすることで得られるメリットを2つ紹介します。
- 流れがつかめる
- 速読が可能になる
それぞれ解説していきます。
話の流れが掴みやすくなる
長文読解で必要なのは話の全体像をつかむことです。一見難しく聞こえますが、日本語の文章を読むときも私たちは同じことをしています。
例えば、論文において問題提起から始まってすぐ次に結論が来る文章を見たことがありますか?そのようなことはあり得ません。小説でも同じです。登場人物の紹介をしてすぐ終わってしまう小説などはありません。
そのような文章は存在せず、必ずどの文章にも起承転結があります。そして、日本語であれば私たちは無意識に話の流れを掴むことができます。
しかし英語になると、1文ずつ正確に訳すことに焦点が向きがちになり話の流れがつかめなくなってしまいます。そこでパラグラフリーディングを用いて、段落ごとに理解しようと意識することで、英語の文章を日本語と同じように読めます。
速読が可能になる
先ほどご紹介した「流れがつかめる」ということはつまり、次のパラグラフがどのような内容なのか予測できるということです。
予測しながらパラグラフを読むことで内容が理解しやすくなり、読むスピードが早くなるのを実感できます。
また、内容を予測することで問いに対して読むべきパラグラフはどれなのかをいち早く判断できます。問題を解くのに無駄な文章を読まなくて済むので、時間短縮に繋がります。
パラグラフリーディングをおすすめしたい人
上記のメリットを踏まえ、パラグラフリーディングは次のような英語学習者におすすめできます。
- 単語・文法は分かるのに長文が読めない人
- 長文を解くとき時間が足らない人
- 英語で論文やニュースを読みたい人
それぞれ解説していきます。
単語・文法は分かるのに長文が読めない人
単語・文法は分かるのに長文が読めないという人は基本的に1文ずつなら問題なく読める人が多いです。単語・文法は分かっているのでそもそも英文が読めない訳ではないのです。問題なのは基礎知識ではなく、読み方にあります。つまり、読み方を変えれば長文読解ができるようになります。
前述したように、長文読解で大切なのは話の全体像をつかむことです。全文に同じ労力をかけてしまうと、長文を理解することよりも正しく訳すことに焦点が向いてしまうため、全体像を見失ってしまいます。
パラグラフリーディングを用いて、段落ごとに大まかな意味を掴むように意識して読むことで内容が整理され、全体像が見えるはずです。
細かいところは問いに応じて読むよう心がけていきましょう。
長文を解くとき時間が足らない人
もちろん基礎知識がないと読むスピードが遅くなりますが、その他の原因として読む必要のないところに時間を割いていることが挙げられます。
例えば、いざ問いを見たときに、長文の中での該当箇所が分からずもう1度最初から読み直した経験はないでしょうか。これだとかなりの時間ロスになってしまいます。
そこでパラグラフリーディングを用いて、各パラグラフの役割・主張をあらかじめ捉えて置くことで読み直すことなく一発で該当箇所を探せます。結果的に時間短縮につながります。
英語で論文やニュースを読みたい人
英語で論文やニュースを読む際にもパラグラフリーディングは効果的です。
一見長く、堅苦しく見える文章でも各パラグラフごとの主張を捉え、簡潔に理解することに努めてください。やるべきことは長文読解と同じです。
読み方のコツさえつかんでしまえば、どのような文章でも簡単に読み進められます。
抑えるべきパラグラフリーディングのコツ3選
ここではパラグラフリーディングをするうえでのコツを3つ紹介します。
- トピックセンテンスを理解する
- 最初と最後のパラグラフを読む
- ディスコースマーカーに着目し話の流れをつかむ
それぞれ詳しく解説していきます。
トピックセンテンスを理解する
英文にはトピックセンテンスと呼ばれる、まとめ文が各パラグラフに必ず1つだけあります。大抵、各パラグラフの冒頭にあることが多いです。
パラグラフリーディングでは各パラグラフの主張を読み取る必要があります。そのときにトピックセンテンスを読めば、すぐにそのパラグラフの要点を理解できます。つまり、トピックセンテンスの理解=パラグラフの理解につながるのです。
知っているか否かで主張をつかむスピードにかなりの差がでるので必ず意識してください。
最初と最後のパラグラフを読む
パラグラフリーディングではまず最初と最後のパラグラフを読みます。
最初と最後のパラグラフを読むことで、文全体のトピックと結論を真っ先に理解するのが狙いです。
そうすることで、その結論に至るために次のパラグラフはどんな役割・主張をするのだろうと想像しながら読めます。
ディスコースマーカーに着目し話の流れをつかむ
つなぎ言葉と呼ばれるディスコースマーカーもパラグラフリーディングでは重要です。
代表的なのは、逆説(But、 However)や具体(For example)、追加(In addtion)です。
日本語で考えてみれば分かりやすいのですが、「Aしかし、B」という文章があったときにAとBは違う内容を指していると感覚的に分かると思います。同様に「A、例えばB」とあったときにはBはAを詳しく説明してるのでAとBは似た内容だと分かると思います。
このように、ディスコースマーカーに着目することで話の流れが読み取りやすくなります。
パラグラフリーディングが身につく参考書
これまでパラグラフリーディングについて詳しく解説してきました。
パラグラフリーディングを短期間で効率よく身に付けたい方におすすめなのが以下2つの書籍です。
- パラグラフリーディングのストラテジー
- パラグラフリーディングナビ
それぞれ詳しく解説していきます。
パラグラフリーディングのストラテジー
パラグラフリーディングを学ぶための王道の参考書です。読み方・解き方編1種類、実践編2種類の計3種類あるので、自分の目的に沿ったものを選びましょう。
パラグラフリーディングを一から丁寧に教えてくれるため、着実に学びたい方におすすめです。
演習前に正しいフォームをつくるというイメージです。
パラグラフリーディングナビ
長文の論理関係の基本やパラグラフの構成について詳しく解説されています。
パラグラフリーディングのストラテジー同様、問題集に移る前に取り組むべき参考書というイメージです。
パラグラフリーディング=長文をパラグラフごとに理解する
パラグラフリーディングとは長文を冒頭から1文ずつ訳すのではなく、パラグラフごとのかたまりで読んで理解する読解術です。話の流れが掴みやすくなる・速読が可能になるというメリットが挙げられ、長文読解において内容把握力向上や時間短縮など非常に大きな力になります。
しかし、パラグラフリーディングは決してすぐに効果の出る魔法の方法ではありません。繰り返し練習して初めて読みやすさを実感できます。最初は違和感を感じるかもしれません。しかし、乗り越えれば必ずパラグラフリーディングが自分のものになります。
繰り返し練習をして長文を現在よりも楽に、早く読めるようになりましょう。